はじめに
特別養護老人ホームの看護師は、
看取りと向き合う仕事です。
入所者の方と日々関わり、
生活のリズムを一緒に過ごしていく中で、
少しずつ最期の時間に近づいていくこともあります。
深く関わる分、お別れはつらいものです。
特養に興味はあるけれど、
「看取りが多いのではないか」
「自分にできるだろうか」
そう不安に感じている看護師もいると思います。
私自身も、最初から迷いがなかったわけではありません。
特養の看取りは、突然始まるものではありません
特養は、治療を目的とした医療の場ではなく、
生活の場です。
看取りも、ある日突然始まるというより、
日常の延長線上にあります。
- 食事量が少しずつ減る
- 眠る時間が増える
- 表情や反応がゆっくりになる
それは、多くの場合、老衰による自然な経過です。
何かを「治す」ことはできなくても、
苦痛が強くならないように、
穏やかに過ごせるように支える。
それが、特養看護師の大切な役割だと感じています。
「食べなくて大丈夫なんですか?」と聞かれたとき
ご家族から、
「食べなくて大丈夫なんですか?」
と聞かれることがあります。
正直に言えば、
「大丈夫な状態です」とは言えません。
ただ、
無理に食べることが、必ずしもその人のためになるとは限らない
という現実もあります。
誤嚥や肺炎のリスク、
入院による環境の変化。
それまで穏やかだった時間が、
一変してしまうこともあります。
食べられなくなっても、
- 水分でお口を湿らせる
- 口腔内を清潔に保つ
- 体位を整え、少しでも楽な姿勢を保つ
「何もしない」のではなく、
心地よさを守るケアを続けています。
受け入れられないご家族がいるのは、自然なこと
説明をしても、
すぐに受け入れられないご家族もいます。
それは、
家族を大切に思っているから。
後悔したくないから。
とても自然な気持ちだと思います。
看取りを選んだとしても、
気持ちが変われば、医療を受けるという選択もできます。
看取りは、
一度決めたら変えられないものではありません。
その時々の気持ちを大切にしながら、
一緒に考え続けるものだと感じています。
仕事というより、「人と人として関わっている」感覚
特養で働いていて感じるのは、
「仕事として付き合っている」というより、
人と人として関わっているという感覚です。
毎日顔を合わせ、
体調だけでなく、その人らしさを知っていく。
その関係性の中で迎える最期は、
決して軽いものではありませんが、
とても自然な流れでもあります。
この感覚がすべての看護師に合うかどうかは、
正直、わかりません。
でも、
「こういう関わり方を大切にしたい」
そう感じる人には、特養は合っている場所だと思います。
それでも、特養でしか得られないもの
看取りのあと、
ご家族から、
「ここで過ごせてよかったと思います」
「その人らしい最期でした」
そう言われることがあります。
その言葉を聞いたとき、
「最期まで、その人らしく過ごせた」
と、静かに感じることがあります。
これは、
生活に寄り添い続ける特養看護師だからこそ
出会える経験だと思います。

おわりに
最後の時に後悔しないよう、
元気な時の何気ない一日を大切にする。
特養看護師の仕事は、
その日常に寄り添い続けることだと思っています。
看取りと向き合う仕事ではありますが、
その前にある、たくさんの「ふつうの日」を支える仕事でもあります。
特養に興味があるけれど迷っている方に、
この現場の空気が、少しでも伝わればうれしいです。















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