ユニットケアは、理想的なケアの形だと言われています。
少人数で、なじみの関係を大切にして、
その人らしい生活を支える。
とてもいい考え方です。
一方で、「実際はどうなの?」と感じている人も多いのではないでしょうか。
現場で働いていると、
ふとした瞬間に「ちょっと違うかも」と感じることがあります。
否定したいわけではありません。
ただ、理想と現実のあいだにある“ズレ”。
今回は、その違和感を整理してみます。

①「少人数ケア」のはずが回らない現実
ユニットケアは「少人数だから丁寧に関われる」と言われます。
でも現場は、余裕があるとは言いがたいです。
例えば、40人の入所者に対して看護師2名。
日によっては午後に1人になる時間帯もあります。
そうなると、ユニットをまたいで対応せざるを得ません。
気がつけば、
“少人数ケア”というより“少人数を回している”状態です。
少人数=余裕がある、ではない。
それでも、顔と名前が一致する関係は、
安心感につながっているとも感じます。
② ユニットケアなのに個別にならない現実
「その人らしい生活を大切にする」
そう言われていても、現場は時間に縛られます。
食事・排泄・入浴。
人手の中で回す以上、完全な個別対応は難しいのが現実です。
食事でもこんなズレがあります。
少量しか食べない → 間食 → 「全量摂取」扱い。
でも実際は、必要なカロリーには届いていません。
逆に、おやつの持ち込みでオーバーすることもあります。
「意思の尊重」と「医療管理」のあいだのズレ。
さらに、
- 本人の希望で時間がずれるのか
- 人手不足でずれるのか
同じ“ずれ”でも意味は違います。
それでも、
少しゆっくり話せる日があるのも事実です。
③「なじみの関係」が続かないこともある
ユニットケアでは「なじみの関係」が大切にされます。
ただ現実には、
- スタッフが日によって変わる
- 固定配置が難しい
そのため、関係が深まりきらないこともあります。
環境面でも、
- 家具は備え付け
- 部屋の作りはほぼ同じ
「その人らしさ」を出しにくい場面もあります。
また、
- 意思表示が強い人
- 遠慮する人
その差も見えやすくなります。
それでも、長く関わる中で
その人らしさに気づける瞬間もあります。
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④ 看護師の立ち位置があいまいすぎる
ユニットケアは生活の場です。
その中で看護師は、
普段は生活に溶け込みつつ、必要なときは医療判断を求められます。
特に食事では、
- 本人の意思
- 医師の指示
この間で揺れることがあります。
生活の中にいる看護師だからこそ、
医療だけでも生活だけでも割り切れない。
その曖昧さが、この仕事の難しさでもあり特徴だと感じています。
迷いながらでも、
その人にとって無理のない形を探せる。
それは、この環境ならではの関わりかもしれません。
⑤ 理想が高い分、現場がしんどくなる
ユニットケアは理想が高いケアです。
その分、
「こうあるべき」という空気が強くなりがちです。
でも現場には限界があります。
人手、時間、環境。
理想とのギャップで疲れてしまうこともあります。
また、
- これは希望なのか
- わがままなのか
迷う場面もあります。
それでも、
「その人にとって少しでも心地いい時間があったか」
それを大切にすることなら、今の現場でもできると感じています。

まとめ:ズレの中で、どう働くか
ユニットケアは、決して悪いものではありません。
ただ、理想と現実にはズレがあります。
そのズレを無理に埋めるのではなく、
できることを大切にしていく。
——そう思いながら働いています。
私の職場では、できる範囲のユニットケアをしています。
個性的なスタッフも多いですが、
否定的な雰囲気はあまりありません。
入所者さんもスタッフも、「その人らしく」。
まるで家族のように関われていると感じることもあります。
人がいない、きついと思うこともあります。
でも、しっかり定時で帰れている日も多い。
「きつい」と思えば、きつい部分ばかり見えてしまうし、
愚痴を言い合ってしまうこともあります。
それでも少し視点を変えると、
思っているほど悪い環境ではないのかもしれません。
完璧でなくてもいい。
その人にとって少しでも心地いい時間があったか。
それを積み重ねていくことが、
続けていくための形なのだと思います。
これからユニット型で働こうと考えている方は、
理想だけでなく現実も知っておくと、少し気持ちが楽になるかもしれません。













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