施設看護師って実際どう?──50代看護師から見た現場のリアル

看護師
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特養をはじめとする介護施設では、
「それは看護師の仕事」
「そこからは介護職の仕事」
そんな言葉がきっかけで、空気が少し重くなることがあります。

大きな衝突が起きているわけではなくても、
職種の違いから生まれる考え方のズレや、
はっきりしない境界線が、揉めやすさにつながっているのも事実です。

看護師と介護職は、同じ利用者さんを支えながらも、
学んできたことや、優先する視点が違います。
だからこそ、善意のはずの言葉が、すれ違ってしまうことがあります。

この記事では、
「看護師の仕事」「介護職の仕事」で揉めやすくなる理由を整理しながら、
私自身が特養の現場で感じていることも交えて書いてみました。


「看護師の仕事」「介護職の仕事」で揉めやすい理由

特養では、「ここからは看護師の仕事」「それは介護職の仕事」といった境界線をめぐる話を耳にすることがあります。
なぜ、看護師と介護職はぶつかりやすいのでしょうか。


① 教育背景がそもそも違う

看護師と介護職は、土台となる教育の考え方が異なります。

  • 看護師:医療・疾患・リスク管理をベースに考える
  • 介護職:生活・自立支援・尊厳をベースに考える

例えば、
看護師は「転倒したら大変。安全を最優先にしてリスクを回避しよう」と考えます。
一方、介護職は「ずっと座らせておくのは本人のためにならない。歩く機会を作って自立を支えたい」と考えます。

どちらも正しく、どちらも利用者さんを思っての判断です。
ただ、「何を優先するか」という基準が違うため、意見がぶつかりやすくなります。


② 責任の所在が曖昧な業務が多い

特養には、両者が関わる業務が多くあります。
食事介助、排泄介助、移乗などがその代表です。

嚥下状態の判断など、医療的視点が必要な場面では看護師が行いますが、
日常的なケアで人手が足りないと、「誰がやるのか」が曖昧になります。

その結果、
「押し付け合い」や「やってくれて当然」という空気が生まれ、
不公平感につながりやすくなります。

実際、人手不足で介護業務を優先していた看護師が、
たまたまケアに入れなかっただけで
「看護師がやってくれなかったから終わらなかった」と言われ、
悲しい思いをしたという話も耳にします。


③ 忙しいと「それは私の仕事じゃない」が出やすい

人は余裕がなくなると、自分の職域を守ることで、心のバランスを取ろうとします。
忙しい時ほど、
相手へのリスペクトよりも「自分のタスクを終わらせること」が最優先になります。

「専門外のことを押し付けられている」と感じた瞬間、
言葉は自然と尖り、関係に亀裂が入りやすくなります。


④ 過去の嫌な経験が壁を作る

過去に、
看護師に強く当たられた、
介護職に丸投げされた、
そんな経験がある人ほど、自分を守るために必要以上に線を引くようになります。

その壁は本人にとっては防御ですが、
周囲からは「非協力的」に見え、
さらに摩擦を生む悪循環に陥ってしまいます。


特養の現場で実際に起きていること

確かに「揉める話」はよく聞きます。
ただ、日常的に大きな衝突が起きているかというと、必ずしもそうではありません。

困っている時に声をかけると、介護職が自然に動いてくれる。
こちらも、できることは手伝う。

経験上、看護師も介護職も、優しい人が多いと感じています。
忙しそうにしていると、さりげなくサポートしてくれる。
多くの現場は、そんな静かなバランスの上に成り立っています。


困った時に自然に動いてくれる(信頼の貯金)

介護職は、入居者さんの一番近くにいる専門家です。
便処置の際も、処置が終わると
「代わりますよ」と声をかけ、洗浄やオムツ交換を引き受けてくれます。

そのおかげで、看護師は次の処置に集中できます。
こうした動きは、日頃の信頼関係があるからこそだと感じます。


こちらも出来ることは手伝っている(相互扶助)

「それは看護師の仕事じゃない」と線を引かず、
おむつ交換や食事介助を手伝うこともあります。

業務が立て込んでいる時は、食事介助を交代したり、
見守りや付き添い歩行が必要な時は、看護業務を一時中断して対応したりしています。

その姿勢が、「同じチーム」というメッセージになり、
協力体制を強くしていると感じます。


私が「境界線」で意識していること

  • 職種の線引きを前面に出さない
  • まずは利用者さん優先で考える
  • 感謝と声かけを忘れない

このスタンスは、結果的に看護師自身の仕事をスムーズにしてくれます。


まとめ

この姿勢は、看護師としての専門性を捨てているわけではありません。
むしろ、専門性を最大限に発揮するための環境づくりだと思っています。

「これは誰の仕事か」ではなく、
「今、利用者さんにとって何が必要か」。

その視点で動くことで、
現場は驚くほど穏やかに回り始めます。

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