特養では、転倒は珍しいことではありません。
ですが、高齢者の場合、転倒直後は普通に会話できていても、後から状態が変化することがあります。
「大丈夫そうに見えるけど、本当に大丈夫だろうか」
私自身、「転倒しました」と報告を受けた時は、まず何を確認するかをかなり意識しています。
今回は、特養で転倒報告を受けた時に、実際に確認していることを書いてみます。
まず気になるのは「頭を打っていないか」
最初に確認するのは、頭部打撲がないかです。
ただ、実際の現場では、
- 誰も転倒場面を見ていない
- 「頭は打っていないと思います」
- 本人もよく覚えていない
ということも少なくありません。
認知症があると、状況説明が難しい場合もあります。
そのため、「頭を打っていない」という情報だけでは安心しきれないことがあります。
私の施設では、頭部打撲が疑われる場合は、症状がなくても一度受診して検査を行い、現時点で異常がないか確認しています。
状態が安定していれば、夜間救急ではなく朝まで経過観察して受診することもありますが、
- 意識レベル低下
- 嘔吐
- 出血
- 明らかな様子の変化
がある場合は、早めの受診を考えます。
出血している場合は、まず傷を確認して圧迫止血を行います。
深い傷で縫合が必要そうな場合も、早めの受診を考えます。
たんこぶがある場合は、冷却しながら経過観察しています。
どんな状況で転倒したのかを確認する
転倒した場所や状況も重要です。
私の施設では、歩行時は見守りや付き添い歩行をしていることが多いため、歩行中の転倒はそれほど多くありません。
実際には、
- ベッドからの転落
- ベッドからトイレへ一人で行こうとして転倒
が多い印象です。
普段は一人でトイレに行けない方でも、夜間に急に動こうとすることがあります。
センサーがあっても防ぎきれないことがある
私の施設では、転倒リスクが高い方を優先して離床センサーを使用しています。
- 覚醒
- 起き上がり
- 離床
などを知らせてくれるため、とても助かっています。
看取り時に、心拍や呼吸確認の目的で使用することもあります。
ただ、現実にはリスクがある方全員に使用できるわけではありません。
また、アラームが鳴っても、
- 夜間の一人夜勤
- 他利用者対応中
- アラームのタイムラグ
などが重なると、間に合わないこともあります。
「あと少し早ければ…」
そう感じる場面もあります。
ベッドの端に寝ていたことが気になっていたのに、次に訪室した時には転落していたこともありました。
転倒対応をしていると、“小さな違和感”を見逃さないことの大切さを感じます。
「大丈夫そう」に見えても安心できない
転倒後、普通に会話できることもあります。
ですが、高齢者の場合、
「普通です」
だけでは安心できないことがあります。
認知症があると痛みの訴えが曖昧なこともありますし、「どうもない」と言いながら普段通りに動けていないこともあります。
実際には、
- 痛そうな表情
- かばう動作
- 動きたがらない
- いつもより反応が鈍い
など、小さな変化がヒントになることがあります。
バイタルが大きく変わっていなくても、普段との違和感を大事にしています。

すぐに動かさない方が良い場合もある
床に転落していると、急いでベッドへ戻したくなることがあります。
ですが、
- 強い痛み
- 腫れ
- 変形
- 起き上がれない
などがある場合は、骨折の可能性も考えます。
特に高齢者は骨粗鬆症があることも多く、
- 大腿骨
- 腰椎
- 手首
などは骨折しやすい部位です。
無理に動かすことで、骨折部がずれてしまう危険もあるため、まず状態確認を行うようにしています。
「どこを打ったかわからない」ことも少なくない
実際の現場では、
「どこを打ったかわからない」
というケースも少なくありません。
認知症があると、本人からの情報だけでは判断が難しいこともあります。
以前、医師に「受傷部位がはっきりわからない」と伝えたところ、可能性がありそうな部位を予測して検査していただき、骨折が見つかったこともありました。
「わからない」を曖昧にせず、そのまま伝えることも大事だと感じています。
転倒直後だけでなく、その後の変化も見る
頭を打ったあと、しばらくしてから症状が出る「慢性硬膜下血腫」という病気があります。
数週間〜1か月ほど経ってから、
- 意識障害
- ろれつが回らない
- 動きが悪くなる
- 失禁が増える
- 頭痛
などが出る場合があります。
そのため、転倒直後だけでなく、その後の生活の中で変化がないかを見ていくことも大切だと思っています。

まとめ|転倒対応で感じていること
特養では、転倒を完全にゼロにするのは難しいと感じます。
センサーを使用していても、夜間の人員状況やタイミングによって防ぎきれないことがあります。
だからこそ、
- どこを打ったのか
- いつもの様子と違わないか
- 小さな変化がないか
を丁寧に見ることを意識しています。
転倒を完全に防ぐことは難しくても、
「いつもと違う」を見逃さないことは大切にしたい。
そんなことを、転倒対応のたびに感じています。















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