― 50代特養看護師が感じている「楽ではないけれど、続けられる仕事」―
「特養の看護師って、楽なんですよね?」
そう聞かれることは少なくありません。
夜勤がない、急変が少ない、医療行為も多くない。
たしかに、病院勤務と比べれば、そう見えるのかもしれません。
でも、この質問をされるたびに、私は少しだけ言葉を選びます。
「楽かどうか」と聞かれると、うまく答えられないからです。
楽ではないと感じるのは、体調変化への「判断」が続くところ
特養で一番気を使うのは、入所者さんの体調変化です。
血圧やSpO₂の数字だけでは判断できない、ほんの小さな変化。
- 今日は食事量が少ない
- なんとなく元気がない
- 表情がいつもと違う気がする
こうした「なんとなく」を前にして、考えます。
- 今すぐ受診が必要か
- 今日は様子見でいいのか
- 夜間、介護士さん一人で対応できる状態か
受診のタイミングをどうするか。
夜勤帯にその判断を託していいのか。
ここは、決して楽な部分ではありません。
本人が言葉にできない「困りごと」を引き受ける仕事
入所者さん自身が、
「どこがつらいのか」「何をしてほしいのか」を
はっきり言葉にできないことも多くあります。
さらに、そこに家族の思いが重なります。
- できるだけ施設で看てほしい
- でも無理はさせたくない
- 本人が苦しまない選択をしてほしい
入所者さんの様子、家族の意向、介護職の現場状況。
それらをまとめて整理し、「今どうするか」を言語化する。
これは医療処置ではありませんが、
特養看護師にしかできない、大切な役割だと感じています。
それでも、病院と決定的に違う「安心」がある
一方で、病院勤務との大きな違いもあります。
病院では、状態が悪化しても、治療は続いていきます。
責任も、緊張も、途切れることがありません。
特養では、状態が悪化すれば「入院」という選択肢があります。
それは逃げではなく、専門的な治療を託す判断です。
- ここで抱え続けなくていい
- しかるべき場所につなげばいい
この「託せる先がある」ことは、
年齢を重ねた看護師にとって、大きな安心でもあります。

「楽かどうか」ではなく、「続けられるかどうか」
特養看護師の仕事は、決して楽ではありません。
判断に迷うこともありますし、責任が軽いわけでもありません。
それでも私は思います。
すべてを抱え込み続けなくていいこと。
チームで、次の場所につなぐ役割でいられること。
それは、50代以降の看護師にとって、
無理なく、長く続けられる働き方のひとつです。
「楽ですか?」と聞かれたら、
これからも私はこう答えるかもしれません。
「楽ではないけれど、ちゃんと続けられる仕事ですよ」と。















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