はじめに
「病院は若い看護師が夜勤をしてバリバリ働く場所」
そんなイメージから、転職先の候補として病院を最初から外していませんか?
確かに病院には忙しい部署もありますが、ひとことで「病院」と言っても、働き方や求められる役割は部署によって大きく異なります。50代だから病院勤務は無理、と決めつける必要はありません。
この記事では、30年以上病院勤務を続け、7回の部署異動を経験した筆者が、50代看護師が病院に転職する際に知っておきたい現実と、働きやすい部署の選び方を解説します。
※筆者が勤務していたのは民間医療法人の病院です。すべての病院に当てはまるわけではありませんが、転職活動の参考としてご覧ください。
この記事でわかること
- 50代看護師が病院に転職するのは本当に難しいのか
- 病院にはどのような部署があり、働き方はどう違うのか
- 希望の働き方をどのように伝えればよいか
50代看護師が病院に転職するのは難しい?
「病院の正職員=夜勤あり・フルタイム・体力勝負」
そう感じて不安になる方は多いと思います。
日本看護協会「2019年 病院および有床診療所における看護実態調査」によると、医療法人病院の正職員全体のうち、50歳以上の割合は約5.6%とされています。看護職全体では50代が約2割を占めていることを考えると、病院の正職員において50代は少数派です。
これは、若いころから継続して勤務している看護師が多く、新たに50代で病院へ転職する人が少ないことが一因と考えられます。
ただし、「少ない=必要とされていない」わけではありません。体力面の変化はあっても、経験・判断力・調整力といった50代ならではの強みを活かせる部署や役割は確実に存在します。
重要なのは、若い看護師と同じ働き方を目指すことではなく、自分に合った部署と働き方を選ぶことです。

病院にはどんな部署がある?
病院には多くの部署があり、夜勤の有無、定時退勤のしやすさ、急な休みの取りやすさは部署ごとに異なります。以下は、筆者が勤務していた民間病院での一例です。
外来
- 常勤は夜勤がある病院もある
- パートは日勤のみ・時短勤務が可能な場合が多い
- 日祝休み、時間外は比較的少なめ
主な業務
- 処置室(採血・点滴・救急対応など)
- 外来診察補助(診療科専属の場合もあり)
病棟
- 正職員は月3〜8回程度の夜勤が一般的
- パート勤務も可能だが外来より割合は少なめ
- 入退院対応や記録で残業が発生しやすい
役割例
- リーダー業務
- 受け持ち看護師
- フリー業務(処置・検査対応)
- 学生指導など
※職場によっては、情報収集のために早めに出勤する文化がある場合もあります。実際の運用は病院ごとに異なるため、事前確認が重要です。
内科系病棟
- 循環器・糖尿病などは入退院が多い
- 患者指導や生活支援が中心
- 看護配置は7対1など忙しい体制が多い
障がい者病棟・療養病棟
- 長期入院患者が中心
- 身体介助が多く体力的負担は大きめ
- 看護配置(10対1・15対1)により受け持ちは多いが、介護職との分業が進んでいる場合もある
外科病棟・ICU
- 外科:入退院・手術対応が多く忙しい
- ICU:2対1看護、重症度が高く若年層が多い傾向
手術室(OPE室)
- 夜勤なし、オンコール対応あり
- 専門性が高く、長期勤務者が多い
透析室
- 2交代制、夜間透析あり
- 日勤のみのパートが多い
- 定時退勤しやすい職場が多い
デイケアセンター
- 日勤のみ
- 体調管理・医療処置が中心
- 日曜休みが多いが、祝日は営業する場合あり
地域医療連携室
- 他院・施設との連絡調整業務
- 日勤のみ、土日祝休み
- 残業はほぼなし
サプライ(中央材料室)
- 滅菌・物品管理が中心
- 日勤のみ
- 年配看護師が多く在籍している職場もある
※部署にはさまざまな選択肢がありますが、実際の配属は必ずしも希望どおりになるとは限りません。その点を踏まえたうえで、次に「配属の現実」をお伝えします。

入職後の配属の現実
就職直後は、人員が不足している部署への配属が優先されることが一般的です。特に強い希望や専門資格がない場合、経験豊富な50代看護師は即戦力として期待されることもあります。
一方で、体力的に負担が少なく人気のある部署は空きが出にくく、異動希望を出しても年単位で待つケースも珍しくありません。
ここまで見てきたように、病院には多様な部署がありますが、配属には現場の事情も大きく関係します。だからこそ、転職前に「自分は何を優先したいのか」を整理しておくことが重要です。
まずは「働き方の希望」を整理する
転職活動では、以下を明確にしておくことが大切です。
勤務時間・夜勤
- フルタイムかパートか
- 勤務時間帯(何時から何時までか)
- 夜勤の可否と回数の上限
無理をして「できます」と伝えると、継続が難しくなることがあります。一方で条件を絞りすぎると不採用の原因になるため、相談できる余地を残した伝え方が重要です。
年収・給与
- 質問されるのは総支給額
- 手取り額と混同しない
- 夜勤をすると月5万円前後増えるケースが多い
扶養内勤務を希望する場合は、必ず事前に伝えましょう。
福利厚生
- 社会保険の加入状況
- 退職金制度の有無
- 医療費補助など法人独自の制度
入職後は確認しにくいため、面接時に聞いておくと安心です。
希望する部署に近づくための考え方
「正社員で働きたいが、最初は不安がある」
「日勤で慣れてから夜勤を検討したい」
このように、段階的な働き方を相談できる病院もあります。
また、興味のある分野や学びたい内容を伝えることで、将来的に希望部署への異動につながることもあります。ただし意欲を示しすぎると役割が増え、負担が大きくなる場合もあるため、家庭とのバランスには注意が必要です。
ここからは、筆者自身の実体験をもとに、希望の伝え方の一例をご紹介します。条件を並べるのではなく、関心や貢献の方向性として伝えることがポイントです。
転職先での希望の伝え方【実例】
筆者が転職時に伝えていた希望は、
- 夜勤なし
- 日祝休み
- 定時退勤
この条件に近い部署として、外来・透析室・デイケア・地域医療連携室・サプライが候補でした。
空きがあったデイケアセンターに対し、
「介護分野にも関わってみたい」と伝えたところ、前向きに受け取ってもらえました。
その後、介護支援専門員の資格を取得し、結果的に17年間部署異動なく勤務することができました。
まとめ
病院勤務は「きつい」「若い人向け」というイメージを持たれがちですが、実際には多様な働き方があります。
自分の体力や生活状況に合った部署を選び、病院側と相談しながら働き方を調整することで、50代からでも無理なく病院で働き続けることは可能です。
転職は不安も多いですが、経験を重ねてきた50代看護師だからこそ選べる働き方があります。あなたの転職が納得のいく一歩になりますように。
















コメント