特養看護師の1日|仕事内容とスケジュールを現役看護師が紹介

施設看護師(特養)のリアル
この記事は約9分で読めます。

「特養看護師の仕事内容は分かったけれど、実際にはどんな1日を過ごしているの?」

「病院とは仕事の流れも違う?」

特養への転職を考えていると、求人票だけでは実際の働き方がなかなか見えてきませんよね。

私は病院や訪問診療などを経験したあと、現在は特別養護老人ホーム(特養)で看護師として働いています。

特養は入所者さんが暮らしている場所です。

そのため看護師も、生活の流れに合わせながら、健康状態の確認や処置、服薬管理、医師・介護職などとの連携を行っています。

この記事では、私が勤務する特養を例に、看護師のある1日の流れを紹介します。

「特養で働いたらこんな感じなんだ」とイメージする材料にしてもらえたらと思います。

特養看護師の仕事内容全体を先に知りたい方は、こちらの記事からどうぞ。

▶ 特養看護師の仕事内容とは?病院との違いや働き方を解説

※この記事は筆者の勤務経験をもとにした一例です。特養によって人員配置、業務分担、医療提供体制、勤務時間、夜勤・オンコール等は異なります。


特養看護師の1日|まずは私の勤務先について

同じ「特養」でも、施設によって看護師の働き方は違います。

私が勤務しているのはユニット型の特養です。

看護師は主に日勤帯に勤務し、配置医師の回診があり、夜間はオンコール体制になっています。

入所者さんの状態やその日の予定によって仕事内容は多少変わりますが、基本的には生活の流れに合わせて仕事を進めていきます。

それでは、ある日の勤務を朝から追ってみます。


8:20 朝礼・申し送り

出勤したら、まず朝礼と申し送りです。

夜間に、

  • 発熱や体調変化はなかったか
  • 転倒などはなかったか
  • 食事や水分は取れているか
  • いつもと違う様子はなかったか

などを確認します。

記録だけでは分からないこともあるので、夜間の様子を知っている介護職からの情報も大切です。

「昨日から食事量が少ない」

「いつもより元気がない気がする」

そんな小さな変化も、その日の観察につながります。

申し送りを聞きながら、

「今日は誰を重点的に見ておこうかな」

と頭の中で整理していきます。


8:40ごろ 排便状況・体調の確認

申し送りのあとは、入所者さんの状態を確認していきます。

夜間からの情報や記録を見ながら、

  • 発熱している方
  • 血圧などを再確認したい方
  • 食事量が落ちている方
  • 排便状況が気になる方
  • いつもと様子が違う方

などを中心に確認します。

特養では、数値だけを見るわけではありません。

表情、会話、動き、食欲など、

「いつもの○○さんと比べてどうかな?」

という見方も大切にしています。

長く生活されている方だからこそ、「普段との違い」が体調変化を知る手がかりになることがあります。


8:50ごろ 食事・水分・服薬状況などを確認

朝食後は、食事量や水分摂取量、服薬状況なども確認します。

「昨日までは食べていたのに、今日はあまり食べていない」

という変化があれば、実際に様子を見たり、介護職から食事中の状況を聞いたりします。

食事は毎日の生活の一部ですが、看護師にとっては健康状態を知る大切な場面でもあります。


午前中 処置・服薬管理・状態確認

朝の確認が落ち着いたら、その日に必要な看護業務を進めます。

たとえば、

  • 皮膚トラブルなどの処置
  • 服薬関連の業務
  • 必要な健康チェック
  • 状態が気になる方の再確認
  • 医師へ報告・相談する内容の整理

などです。

毎日まったく同じ仕事になるわけではありません。

入所者さんの状態を見ながら、その日の優先順位を考えて進めます。

体調に変化がある場合は必要な情報を確認し、施設の体制や手順に沿って医師などへ報告・相談し、必要な対応につなげていきます。


回診がある日は医師へ状態を報告

配置医師の回診がある日は、気になっている入所者さんについて報告・相談します。

たとえば、

「数日前から少し食事量が落ちています」

「昨日から皮膚に赤みがあります」

など、普段の状態や経過を含めて伝えます。

特養では看護師が日頃の健康状態を確認しているため、普段との違いや経過を医師につなぐことも大切な役割です。

必要な指示を確認し、その後のケアについて介護職などとも共有します。


昼食 食事の場面も大切な観察の時間

昼食時は、必要に応じて食事の様子を確認したり、食事介助に入ったりします。

食事の場面では、食べた量だけでなく、

  • しっかり覚醒しているか
  • 姿勢はどうか
  • むせていないか
  • 飲み込みにくそうではないか
  • 食後に声の変化などがないか

といった、摂食嚥下の状態を確認できることがあります。

介護職は日々の食事の様子をよく知っています。

一方で、看護師の視点から気づく変化もあります。

「今日はいつもより食べにくそう」

「最近むせることが増えた気がする」

そんな情報を介護職と共有しながら、必要に応じて状態を確認していきます。

生活の場面そのものが、看護につながっている。

これは病院から特養に移って、私が感じた違いのひとつです。

食事介助や誤嚥予防については、こちらの記事で詳しくまとめています。

▶ 【特養の食事介助のコツ】誤嚥を防ぎながら時短につなげる関わり方


午後 午前中のフォローと翌日の準備

午後は、午前中に気になった方の経過をもう一度確認したり、残っている業務を進めたりします。

たとえば、

  • 状態が気になる方の再確認
  • 処置
  • 記録
  • 服薬関連の準備
  • 医師や他職種との情報共有
  • 翌日以降に必要な準備

などです。

入所者さんの状態が安定していれば、比較的落ち着いて仕事を進められる日もあります。

一方、発熱や転倒などがあれば、予定を変更して対応することもあります。

予定している仕事を進めながら、必要なときには優先順位を変える。

このあたりは病院勤務とも共通していると思います。


夕方 申し送り・記録をして勤務終了

勤務の終わりには、その日の状態変化や夜間に共有しておきたいことを申し送ります。

体調が気になる方がいれば、

「今日はどんな様子だったか」

「その後どう経過しているか」

「夜間にどんなところを見てほしいか」

など、必要な情報を共有します。

記録や残っている業務を確認したら、勤務終了です。

特養は入所者さんの生活が24時間続く場所なので、次に関わるスタッフへ必要な情報をつなぐことも大切だと思っています。


特養看護師はずっと忙しい?

「特養は病院より楽なの?」

これも転職を考えると気になるところだと思います。

私の勤務先では、入所者さんの状態が安定している日は比較的落ち着いて仕事ができることもあります。

一方で、発熱や転倒、体調不良などが重なれば忙しくなります。

そのため私は、「特養=楽」「特養=大変」と一括りにはできないと感じています。

施設の体制や入所者さんの状態によっても、忙しさは変わります。


看護師が介護業務にどのくらい入るかも施設によって違う

特養では、看護師も入所者さんの生活に関わります。

ただし、看護師が介護業務をどの程度担当するかは、施設によって違います。

私の勤務先では、看護師が食事介助や見守りなどに入ることはありますが、移乗や入浴介助など身体的な負担が大きい介護業務に入ることは多くありません。

一方で、看護師が介護業務に関わる割合は施設によって異なります。

これはどちらが正しいということではなく、それぞれの施設の人員配置や役割分担による違いです。

また、私がユニットリーダー研修で訪れた施設では、入所者さんの生活やスタッフの状況に合わせて、勤務時間を柔軟に組んでいる例もありました。

同じ「特養」でも、働き方はいろいろあります。

だからこそ、「特養ならこう働くはず」と決めつけず、その施設の実際の働き方を確認することが大切だと思います。


病院での経験は特養でも使える

ここまで1日の流れを見てもらうと、

観察する
→情報を集める
→報告・相談する
→必要な対応につなげる
→経過を見る

という看護の基本は、病院と大きく変わらないことが分かると思います。

違うのは、それを入所者さんの生活の中で行うことです。

施設独自の仕事や流れは入職してから覚える必要がありますが、これまで身につけてきた看護経験も特養で活かせます。


転職前には「実際の1日」を聞いてみる

求人票だけでは、実際の働き方までは分からないことがあります。

特養への転職を考えているなら、見学や面接などで、

  • 看護師の主な仕事内容は?
  • 看護師は介護業務にどの程度関わる?
  • 医師の回診や連携はどのような体制?
  • 状態変化があったときの相談体制は?
  • 夜間の看護・連絡体制は?

などを確認してみると、入職後の働き方をイメージしやすくなります。

特にオンコールは、「ある・ない」だけでは実際の負担が分かりにくい部分です。

施設によって体制が異なるので、オンコールが気になる方はこちらも参考にしてください。

▶特養看護師のオンコール実態|「必須」だと思っていませんか?現場で分かった本当の話

そして見学や面接では、

「看護師さんは普段、どんな1日の流れで働いていますか?」

と聞いてみるのもおすすめです。

同じ特養でも、仕事内容や役割分担、勤務体制はさまざまです。

「この施設なら、自分はどんな働き方になりそうかな?」

という視点で見てみると、入職後のギャップを減らしやすいと思います。


まとめ|特養看護師の1日は「生活の中で健康を支える」

私の勤務先では、

申し送り・情報収集
→健康状態の確認
→処置や服薬関連の業務
→食事場面などでの観察
→医師・介護職などとの連携
→経過確認
→申し送り

という流れで1日が進んでいます。

病院とは仕事の組み立て方が違いますが、看護の基本まで変わるわけではありません。

入所者さんの普段の生活を知り、「今日はいつもと少し違うな」という変化に気づき、必要な対応につなげていく。

そんな看護が特養にはあります。

そして、同じ特養でも働き方はさまざまです。

特養への転職を考えている方は、求人情報だけでなく、見学や面接などで実際の1日の流れを確認してみてください。

特養看護師の仕事内容全体や、病院との違いについて知りたい方はこちらの記事もどうぞ。

▶ 特養看護師の仕事内容とは?病院との違いや働き方を現役看護師がわかりやすく解説

※本記事は筆者自身の勤務経験をもとに、特養看護師の1日の一例を紹介したものです。施設によって人員配置、業務分担、医療提供体制、勤務時間、夜勤・オンコール等は異なります。個別の医療行為や受診の要否については、医師の指示や所属施設の手順等に沿った対応が必要です。

コメント