「明日まで様子観察でいいのだろうか?」
39.7℃。
強い悪寒。
頭痛。
そして、いつもより落ち着かない様子。
超高齢の入所者さんを前に、私は迷っていました。
特養で働いていると、発熱時の判断に悩むことがあります。
「まずは施設で様子を見るか」
「受診した方がいいのか」
でも、判断材料は熱の数字だけではありません。
年齢、既往歴、症状、時間帯、そして夜間体制。
その時に見えている情報を組み合わせながら、私たちは判断しています。
今回は、私が「朝まで待てないかもしれない」と感じ、夜間受診を選んだケースについて書いてみます。
※施設や医師の指示、入所者さんの状態によって対応は異なります。今回のケースは、あくまで一例として読んでいただければと思います。
夕方、急な悪寒と発熱
夕食前のすこし忙しくなってくる時間帯。
超高齢の入所者さんが、急に悪寒を訴え始めました。
「寒い、寒い」
熱を測ると発熱。
その後、熱はみるみる上がり、39.7℃まで上昇しました。
頭痛の訴えもあり、普段より少し落ち着かない様子も見られました。
呼吸状態や血圧など、大きく崩れている印象はありません。
嘔吐や腹痛、腰痛などもありませんでした。
それでも私は、少し気になっていました。
「39.7℃という数字以上に、いつもと様子が違う気がする」
そして、
「朝まで施設で安全に見られるだろうか?」
と考え始めました。
特養での発熱対応。普段はまず様子観察が多い
特養では、発熱したからといって、すぐ受診になるわけではありません。
環境調整をしたり、水分摂取を促したり。
必要時にはクーリングや解熱剤を使用しながら経過を見ることも多いです。
私自身、普段から「まずは施設で様子観察」という判断をすることがあります。
病院側が疲弊しないような配慮も必要ですし、夜間救急は本当に必要な時に利用したい。
だからこそ、今回も迷いました。

まずはウイルス感染を確認
外来看護師さんと相談して
ウイルス検査を実施し、感染症の有無を確認することに。
発熱時の受診には必要な検査です。
ただ、受診しようと思った時には、通常診療の営業時間にギリギリ間に合わず、夜間受診となりました。
今回、解熱剤を使わなかった理由
今回は、解熱剤は使用しませんでした。
発熱時に解熱剤を使うこと自体は、施設ではよくある対応です。
医師指示に沿って使用しながら、経過を見る場面も多くあります。
ただ今回は、悪寒が収まっていないこと、
すぐに受診できる体制だったこともあり、解熱剤による経過観察よりも、
「まず診断を受け、医師の指示をもらうこと」
を優先しました。
悪寒を伴う高熱。
頭痛。
普段より落ち着かない様子。
超高齢であること。
そして、尿路感染の既往。
「まず評価を受けた方がいいかもしれない」
そんな思いがありました。
私が夜間受診を選んだ理由
今回、私が気になったのは、「39.7℃」という数字だけではありません。
“いつもと違う様子”
が気になっていました。
尿路感染の既往があり、今回も可能性の一つとして頭にありました。
もし感染が背景にあるなら、施設での様子観察だけで良いのか迷います。
必要な治療があるなら、いずれ受診が必要になるかもしれない。
問題は、その“いずれ”を翌朝まで待てるかでした。
しかも、発熱は夕方から。
私の施設では、夜勤者1人で2ユニット20名を担当しています。
通常業務に加えて、バイタル確認や状態変化時の報告・対応も必要になります。
これは、
「介護士さんが大変だから受診」
という話ではありません。
私が考えたのは、
「この体制で朝まで安全に見切れるだろうか」
ということでした。
病院に着く頃には解熱。少し気持ちが揺らいだ
受診途中、大量の発汗がありました。
病院に着いた頃には、熱は37.2℃まで下がっていました。
待合で座っている姿を見ると、少し落ち着いたようにも見えました。
正直、少し自信が揺らぎました。
「あれ……そこまで焦らなくてもよかった?」
「受診させすぎだったかな」
そんな気持ちが頭をよぎりました。
本音を言えば、
点滴をして、薬を処方してもらって、施設へ帰れるかもしれない。
そんな期待もありました。
結果は尿路感染。入院治療へ
結果としては、尿路感染がありました。
くわしく検査も行われ、最終的には入院し、抗生剤の点滴治療となりました。
腎盂腎炎とは言われませんでしたが、施設へ戻る流れではありませんでした。
その時、
「あぁ、やっぱり様子観察だけでは難しかったのかもしれない」
そう感じました。
ただ、それでも思います。
受診判断は、本当に難しい。
今回、私が見ていたポイント
今回、私は「熱の高さ」だけでなく、いくつかの情報を組み合わせて考えていました。
- 急激な熱の上がり方
- 強い悪寒
- 頭痛、普段より落ち着かない様子
- 超高齢者
- 尿路感染の既往
- 発熱した時間帯(夕方)
- 夜間体制(夜勤1人で2ユニット20名)
- 朝まで安全に見切れるか
もちろん、これが正解という話ではありません。
施設体制や医師指示、本人状態によって判断は変わると思います。
ただ、私は今回、こうした情報を組み合わせながら考えていました。
特養看護師の受診判断は、結果だけでは語れない
あとから結果だけを見ると、
「朝まで待てたかもしれない」
そう言えることもあるかもしれません。
でも、特養看護師の判断は、その時点で見えている情報の中で行っています。
年齢。
症状。
既往歴。
時間帯。
施設体制。
そして、入所者さん本人の変化。
その全部を見ながら、
「朝まで安全に見られるか」
を考えています。
明日もまた、似たような場面で迷うかもしれません。
それでも、その時に見えている情報をもとに考えるしかない。
今回の判断が“正解”だったと言いたいわけではありません。
ただ、その時に見えていた情報から、私は受診を選びました。
同じように悩みながら働いている施設看護師さんに、
「そんなこと、あるよね」
と思ってもらえたら嬉しいです。















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