働く看護師の5割以上が退職を経験しています
退職の理由はさまざまですが、退職すると決めたら円満に退職したいと思うものです
この記事でわかること
・退職するための準備
・退職する時の流れとコツ
・退職してからやること
![すとかわ](https://www.nsnounaikaigi.com/wp-content/uploads/2023/05/すとかわ様-150x150.jpg)
看護師歴30年以上、たくさんの看護師さんの退職をみてきました
自身も円満退職者の筆者の経験をお伝えします
つらい状況から解放され今より働きやすい職場に就職できるよう、スムーズな円満退職を目指しましょう
退職する準備をして動き出す
本当に自分は退職の意思はあるのか
「仕事が忙しすぎてもう限界」
「人間関係が悪すぎて精神的にムリ」
仕事を辞めたら、こんな生活から解放されてスッキリするのに
私もそう思い退職をしたことがあります
でも、勢いで退職してしまって「こんなはずじゃなかった」と後悔しないために
少し冷静になって、本当に退職することがベストな選択なのか考えてみてください
・一時的に気分が落ち込んで衝動的に辞めたくなってはいませんか?
すこし休職してリフレッシュすると回復する可能性があります
・業務が多すぎて残業ばかりできつい
ほかにも同じように考えている人もいるかもしれません
業務改善できるか、スタッフの増員や応援は可能かなどやれることがあるかもしれません
・人間関係が悪い
配置変更などでスタッフの入れ替わりがあると落ち着くケースもあります
また、自分が移動を希望して配置転換すると退職せずに新しい環境を得られます
退職・転職は家族の生活にも関わってきます
家族の理解を得られるように、よく話し合って協力してもらえる体制作りをしておくと安心です
無職になっても経済的に大丈夫なのか
退職後はしばらく収入がありません
もしもの時のために、生活費の3か月分以上は蓄えがあると安心です
「失業保険があるから大丈夫」
と思われるかもしれませんが
自己都合の場合は失業保険は2~3か月の支給されない期間があります
受給可能だったとしても、実際に口座に振り込まれるのは約1か月後となりますのですぐには受け取れません
生活費のほか保険料などの支払いが発生することもあり、手元にお金が必要になります
退職時期を決める
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就業規則の確認をする
「やっぱり退職しようと思う」
と考えが変わらなければ、まず自分の職場の就業規則を確認しましょう
法律では退職の意思を示すのは退職日の14日前までに申し出るよう定められています
しかし多くの職場では「1か月前まで」など就業規則に定められています
「年度末に退職」という病院もありましたので確認をしておく事が大切です
看護師が退職に適した時期とは
年度末
3月末は年度末で病院内で新年度の看護師の編成が決定する時期です
スタッフが動く時期に合わせて退職すると、病院側も人員配置がしやすく迷惑になりにくい時期といえます
委員会活動やプリセプターの役割が一段落する時期
委員会活動・看護研究・プリセプターなどの役割を持っている人は、役割が一段落する時期も退職しやすいタイミングといえます
退職後の他のスタッフへの負担を減らせます
看護師求人が多い時期
1~2月、7月は看護師求人が増える傾向にあります
求人が多い時期は、次の就職先が決まりやすいためおすすめです
ボーナス支給後に退職して次の職場へ就職すると金銭的な余裕にもなるでしょう
看護師が退職しづらい時期は
長期休暇の前後
長期休暇前後は通常のシフト作りも難しいため退職が受理されにくい傾向があります
年末年始やお盆・ゴールデンウィークは他のスタッフもお休みが欲しいと思っています
退職前に有給消化することが難しくなります
人間関係が悪化したり、シフトが組めないからと引き止められる可能性があるためなるべくこの時期は避けた方がよいでしょう
委員会活動やプリセプターなどの役割を担当している最中
委員会や看護研究メンバーになっていたり、プリセプターを担当している最中は途中で退職をすると引継ぎをする相手への負担が大きくなります
不明なことがあると退職後も問い合わせの連絡を取る必要もでてきます
スムーズに退職するためにも、大きい役割を抱えている時期の退職はなるべく避けましょう
産休予定者がいる時期
産休予定者は事前に知らされていて、人員が減ることが確定しています
病院によっては産休者もスタッフとしてカウントしてあり補充が見込めない場合があります
人員確保が困難な場合は引き止めや退職時期の先延ばしを提案されるかもしれません
引き止められない退職理由を考える
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退職したい理由を明確に考えておく
退職を考えるきっかけとなるもの
・仕事内容・やりがいへの不満
・人間関係
・月収、賞与、手当などの給与への不満
・勤務時間、勤務体制
・残業時間
・結婚、出産
職場に対して何らかの不満があって退職する場合がほとんどですが、不満をそのまま退職する理由として伝えてしまうと、職場側も引き止めようと改善策を提案してくることがあります
条件が良くなったら退職はしないでおこうかと思われるならいいのですが、「絶対退職したい」と思われるなら退職理由をそのまま伝えるのではなくポジティブに伝えることが成功のカギとなるでしょう
「ゆとりのある看護をして患者さんともっと向き合いたい」
「興味のある分野あるから新しい環境でチャレンジしてみたい」
など前向きな理由を伝えることがおすすめです
また家族のことが理由の退職は、職場では改善できない事柄のため引き止められにくくなりますが、嘘をついて退職するとはNGです
どこで嘘がばれるかと不要な心配をすることになりかねません
言わない方がいい退職理由
前述のとおり、ネガティブな退職理由は避けた方がよいでしょう
不満ばかり言っていると退職するまでの期間を居心地の悪いものになる可能性があります
また「ヘッドハンティングされての退職」も周囲には言わない方がよいでしょう
ヘッドハンティングされていることを快く思わない人からのトラブルに発展しないとも限りません
円満退職をするためにもトラブルはなるべくないように気を付けましょう
退職の意思の伝え方
大まかな退職希望日が決まったら、退職の意思と理由を,上司に伝えます
最初に退職の意思を伝えるのは直属の上司です
病棟の場合は病棟師長になります
伝えるタイミングは相手が忙しくない余裕のある時間帯を選びましょう
突然、大勢のスタッフがいるナースステーションで「退職したいのですが」と切り出すのは避けましょう
伝える場所は個室など他のスタッフがいない場所で行うことが望ましいです
「お話があるのでお時間をいただいてもよろしいでしょうか?」
など2人きりで話せる場所に移動したほうがよいでしょう
上司に退職の意思を伝える時は、まず「大変申しわけないのですが」などお詫びの言葉から話しましょう
上司側も突然退職の意思を伝えるとびっくりされると思います
驚かせること、退職して職場にご迷惑をかけることに対して申し訳ないという気持ちを伝え、相手に不快感なく退職の話を受け入れてもらえるように心がけましょう
退職理由はネガティブな内容は避けましょう
ネガティブな理由で退職を希望すると、職場側はなんとか引き止めようと改善策を提案される場合があります
相手を悩ませてしまいますし、一生懸命改善策を考えてくれる姿を見て退職の意思が揺らいでしまうことでしょう
退職の意思は変わらないということを示すことが大切です
「スキルアップがしたい」「違う分野に挑戦したい」など前向きな理由が好ましいでしょう
「体調不良」や「家庭の事情」での退職も引き止めにくい理由になります
退職が受理されたら
退職の意思があることが上司に伝わったら、職場にもよりますが看護部長や人事の方との面談になり具体的な退職日を決定していく流れになります
退職日を決める
退職が受理されたら正式な退職日を決定します
退職日は勤務先と本人と話し合って決定していきます
・退職希望日を聞かれたら1か月以上先を伝えると無難
・業務の引継ぎが可能な日程で決める
・シフトが組めるように配慮する
・有給休暇を消化するのか
上記のことを考えながら決めていきます
状況によっては希望退職日よりも退職日が伸びてしまう可能性がありますので余裕をもって希望退職日は伝えましょう
特に次の就職先が決定している方は注意してください
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私の場合は、希望退職日よりも2か月伸びました
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夏に伝えて年度末での退職というケースもありました
退職日が決定したら、仲の良い人には発表される前に伝えておくほうがよいでしょう
退職届を提出する
正式に退職日が決定したら「退職届」を提出します
退職届・・・一定期間の後に会社を退職できることが認められている
提出すると基本的に撤回できない
退職願い・・退職を願い出るための書類で却下される可能性もある
「退職届」は勤務先によっては専用のフォーマット(書式)がある場合がありますので確認しましょう
自分で用意する場合は、白い無地の便箋やパソコンで作成しても問題ありません
手書きの場合は黒のボールペンか万年筆を使用します
退職理由は自己都合の場合、すべて「一身上の都合」と記載して問題ありません
「人間関係が悪いので退職します」など個人的理由は記載しなくてOKです
仕事の引継ぎをする
自分が退職した後も残ったスタッフが困らないように引継ぎをしましょう
引き継ぎがスムーズにできたのか確認するために、余裕あるスケジュールにしましょう
もし分からないことが出てきても直接教えられ安心です
引継ぎ内容を文書で渡したり、連絡先を教えておくとよいでしょう
退職時に返却するもの
勤務先で使用していた物は退職時に返却しなければならない物があります
退職日に向けて目立たないように整理整頓して慌てないようにしましょう
・健康保険被保険者証
・身分証明書(IDカード・社員証)
・ネームバッジなど(名札・社章・名刺など)
・ユニフォーム(貸与の場合)
・職場で購入した物品(事務用品・書籍など)
・ロッカーや寮の鍵
返却する際は汚れは落としてきれいにして返しましょう
ユニフォームはクリーニングして、ロッカーや寮は掃除をしてから返却します
最終出勤日を迎えたら、職場を去る際に返却しなければならないものや、忘れずに受け取らなければならないものがあります。今まで自分のもののように使っていても、職場の所有物であれば退職時には返却しなくてはなりません。受け取るべきものは、その後の手続きに必要な書類なので、当日交付されないものは受け取り方法を確認しておきましょう。
退職時に受け取るもの
退職時に勤務先から受け取る書類もあります
退職後の手続きに必要になってきます
すぐには貰えない書類もありますが後日郵送などで渡されますので確実に受け取って下さい
・雇用保険被保険者証
・離職票
・源泉徴収票
・年金手帳(職場に預けている場合)
・雇用保険被保険者証
雇用保険の情報を引き継ぐために必要です
失業保険や職業訓練を受ける際にも必要になります
・離職票
「雇用保険被保険者離職票」のことです
失業保険の手続きの際必要となります
すでに就職先が決定している場合は失業ではないため不要です
離職票は通常2週間以内に前の職場から送られてきます
届かない場合は失業保険の手続きが送れてしまうので担当者に連絡をしてみましょう
連絡をしても届かない場合はハローワークへ相談すると代わりに催促してもらえます
・源泉徴収票
源泉徴収票とは1月~12月までの1年間の収入と納付した所得税額を記載した書類です
年末調整や確定申告の際に必要になります
・年金手帳(職場に預けている場合)
年金手帳は令和4年4月1日以降に初めて年金に加入される方には「基礎年金番号通知書」が発行され、「年金手帳」は発行されなくなりましたが50代看護師世代は大体持っていると思います
マイナンバーを利用して年金の手続きは可能ですが、基礎年金番号が確認できる書類ですので保管が必要です
出勤最終日にはみんなどうしている?
退職が決まったらお世話になった方へご挨拶をします
最終出勤日には感謝の気持ちとともに小物やお菓子など配りものをする方が多いようです
ハンドタオルやハンドクリーム、ボールペンなどが人気です
まとめて菓子折りを渡す場合、日持ちがして個別包装で全員に行き渡る量の入ったものが良いでしょう
退職してからの手続き
退職後は仕事からの解放され気が抜けている方も多いのではないでしょうか
しばらくゆっくりしたい方もいると思いますが、早めに手続きが必要な事があります
退職後は何をすればいいのでしょうか
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退職した後は、雇用保険や住民税、健康保険などの手続きをしなければいけません
失業保険の申請
すぐに次の仕事が決まっている場合は失業保険の申請は必要ありません
退職後、次の仕事先が決まっていない場合は失業保険の手続きをしましょう
失業保険の受給は申請してからすぐに貰えるものではありません
7日間の待機期間の後、被保険者であった期間や年齢・退職理由によって受給が始まる日や貰える期間が異なります
受給手続きに必要なもの
離職票-1.
離職票-2.
マイナンバーカード (ない場合:個人番号確認書類と身元確認書類)
顔写真2枚
本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
印鑑
(1) 必要書類の準備しハローワークで手続きを行う
必要書類がそろえ、ハローワークで失業保険の申請を行い雇用保険受給資格者のしおりを受け取り以下のことを行います
・求職申し込み
・離職票など必要書類の提出
・雇用保険説明会の日時決定
(2) 雇用保険受給者初回説明会
指定日時に雇用保険受給者初回説明会に参加します
雇用保険受給者初回説明会では第一回目の「失業認定日」が知らされます
「雇用保険受給資格者証」「失業認定申告書」を渡されます
(3) 失業の認定
失業認定日にハローワークに行き失業の認定を受けます
第一回目の「失業認定日」以降の失業認定日は通常4週間に一度です
失業の認定には、求職活動の状況を記入した「失業認定申告書」と「雇用保険受給資格者証」の提出が必要です。
(4) 失業手当の受給
失業の認定を受けたら、通常5営業日程度で失業手当が振り込まれます
前述の通り、受給が始まる日や貰える期間は被保険者であった期間や年齢・退職理由によって異なります
健康保険の手続き
退職後、再就職までの間に少しでも時間がある場合には、今まで入っていた健康保険から以下の健康保険へ切り替える必要があります
・国民健康保険への加入
・今までの会社の保険への任意継続
・会社員の配偶者などの扶養に入る
国民健康保険への加入する場合は退職の日から14日以内に手続きを行う必要があります
国民健康保険の切り替えの手続きは、住所地の市区役所または町村役場で行います
同時に年金の切り替え手続きも行うとよいでしょう
任意継続や配偶者などの扶養に入る場合の手続きや必要書類は、その会社が加入している保険組合によって異なります
任意継続は退職日の翌日から20日以内に退職者から直接、健康保険組合または全国健康保険協会支部に申し込みます
配偶者の扶養に入る場合、配偶者の勤務先で手続きをします
年金
退職後、再就職までの間に少しでも空く期間がある場合は、厚生年金から国民年金への切り替えが必要となります
第1号被保険者 自営業者や無職の方などが加入する国民年金のみの被保険者
第2号被保険者 会社員などが加入する厚生年金や共済年金の被保険者
第3号被保険者 年収130万円未満で、第2号被保険者(配偶者や両親)に扶養されている人
退職後は第2号被保険者から第1号被保険者に切り替えるか、会社員である配偶者などの扶養に入る場合には、第3号被保険者に切り替えます
退職の日から14日以内に国民年金の加入手続き行う必要があります
まとめ
看護師が退職をすることは大変です
上司と話し合っているうちに退職したいという気持ちが揺れ動いたり
仲の良い同僚を残していく申し訳なさがあったりします
退職が決まってからの勤務もなんだか気まずかったり
なるべくそのような思いをしなくて済むように
どうすればスムーズに退職できるのかをまとめてみました
ネガティブな退職理由も、ポジティブに変換して言葉にしているうちに、本当に前向きな気持ちで退職できることもあります
楽しく前向きにいきましょう
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