特養看護師のオンコールは何をする?実際の対応と流れを現役看護師が紹介

施設看護師(特養)のリアル
この記事は約9分で読めます。

「特養に興味はあるけれど、オンコールが不安……」

「夜中に電話がかかってきたら、自分一人で判断しないといけないの?」

特養への転職を考えている看護師さんにとって、オンコールは気になるポイントのひとつではないでしょうか。

私も現在、特養でオンコールを担当しています。

実際に経験して感じるのは、オンコールの負担は「ある・ない」だけでは分からないということです。

誰が最初に連絡を受けるのか。夜間のスタッフはどこまで状態を確認できるのか。困ったときに誰へ相談できるのか。

こうした仕組みによって、オンコールの実際はかなり変わります。

この記事では、私が勤務する特養を例に、オンコールでは実際にどのような対応をしているのかを紹介します。

特養看護師の仕事内容そのものを知りたい方は、まずこちらの記事からどうぞ。

関連記事:特養看護師の仕事内容とは?病院との違いや働き方を現役看護師がわかりやすく解説


特養では夜間をオンコールで対応する施設もある

特養は、入所者さんにとって「生活の場」です。

看護師が日中を中心に勤務し、夜間はオンコール体制をとっている施設もあります。

もちろん、入所者さんの生活は夜間も続きます。

発熱したり、転倒したり、いつもと様子が違ったりすることもあります。

24時間生活している入所者さんの健康管理に関わる以上、夜間も何らかの形で対応できる体制が必要になります。

その方法のひとつがオンコールです。


「夜勤がない=負担がない」ではない

オンコールは夜勤とは違い、自宅などで過ごしながら連絡に備えます。

ただし、自宅にいられるから負担がないわけではありません。

私の場合、呼び出されたときには車を運転して施設へ向かうことも想定しているため、オンコール当日は飲酒しません。

また、すぐに対応できるよう、あまり遠くへ出かけないようにもしています。

夜間に呼び出されても、翌日は通常どおり勤務になることがあります。私の勤務先では、人員に余裕があれば勤務を調整してもらえることもあります。

一方、夜勤には夜間もその場で入所者さんの状態を確認できるという面があり、勤務先によっては夜勤手当がつくこともあります。

そのため、夜勤とオンコールのどちらが楽か、という単純な比較はできないと思っています。

大切なのは、自分の生活スタイルに合う働き方かどうかです。


特養のオンコールは、病院の夜勤とは少し違う

特養は、病院のように治療を中心とする場所ではなく、入所者さんが暮らす生活の場です。

もちろん、高齢の方が多いため、体調が変化することはあります。

施設での対応が難しい状態になった場合には、本人・ご家族の意向やこれまでの方針、医師などの専門的な意見を踏まえ、必要に応じて医療機関での診療や入院につなげます。

一方、看取りを希望されている方では、あらかじめ確認されている方針に沿って、施設で最期まで過ごされることもあります。

そのため、私が実際に働いて感じるのは、病院の夜勤のように、治療や処置が次々と重なる場面は比較的少ないということです。

ただし、「何も起こらない」という意味ではありません。

普段の生活を見ながら変化に気づき、必要な医療やケアにつなげることも、特養看護師の大切な役割です。


私の勤務先では、まず相談員へ連絡が入る

私の勤務先では、夜間に入所者さんの状態変化があった場合、まず相談員へ連絡が入ります。

介護職は、体温・血圧・SpO2など必要なバイタルサインを測定し、入所者さんの様子とあわせて報告します。

その内容をもとに、必要に応じてオンコール担当の看護師へ連絡が入ります。

看護師は電話で、現在の状態やこれまでの経過など、必要な情報を確認します。

私の勤務先では、このように介護職・相談員・看護師がそれぞれの役割を担いながら、夜間の状態変化に対応しています。


オンコールで実際に何を確認する?

看護師へ連絡が入ったら、入所者さんの現在の状態やこれまでの経過を確認します。

状態変化の内容やバイタルサイン、普段との違い、食事や水分の状況など、そのときに必要な情報を整理します。

転倒などの場合には、どのような状況だったのかも確認します。

私の勤務先では、状態変化があったときの対応について、連携医療機関とあらかじめ一定の基準を共有しています。

看護師が状態を確認したうえで、必要に応じてその基準や医師からの指示、施設の手順などを確認しながら、医療機関への相談や受診など、次の対応につなげていきます。

体調不良について相談が必要なときには、連携医療機関の外来看護師さんへ相談できる体制もあります。

また、電話だけでは状態を十分に把握できない場合や、看護師が直接確認・対応する必要がある場合には、施設へ向かうこともあります。

電話だけで何とかすることが、オンコールの目的ではありません。

必要な対応につなげるための仕組みのひとつだと考えています。


オンコールは「電話が鳴ってから」始まるわけではない

私がオンコールを担当していて大切だと感じるのが、日中からの準備と情報共有です。

たとえば、

「今日は少し熱っぽい」

「食事量が落ちている」

「いつもより元気がない」

など、夜間に状態が変化する可能性が考えられる場合には、その日のうちに情報を共有します。

必要な観察ポイントや、あらかじめ医師から指示されていることなども、申し送り記録で共有しておきます。

もちろん、夜間に起こることをすべて予測できるわけではありません。

大切なのは、何でも先回りして判断することではなく、今分かっていることについて、できる準備をしておくことです。

これは病院でも行ってきた、観察や申し送り、情報共有の延長だと思っています。


看取りでは、あらかじめ方針を確認していることも

特養では、入所時や状態の変化に応じて、本人・ご家族の意向を確認しながら、今後の医療や看取りについて話し合っている施設もあります。

私の勤務先でも、老衰などで徐々に状態が変化してきた場合には、本人・ご家族の意向や、これまで確認されている方針を踏まえて対応しています。

そのため、夜間に状態が変化したからといって、すべてのケースで救急搬送になるわけではありません。

一方で、看取りを希望されているからといって、何も対応しないということでもありません。

現在の状態、医師などの専門的な意見、本人・ご家族の意向、これまでの方針などを踏まえながら、必要な対応につなげます。

私の勤務先では、ご家族への説明や意向確認、関係者との調整は相談員が中心となり、看護師は状態や医療的な情報を整理して伝えています。


オンコールの役割分担は施設によって違う

ここは、特養への転職を考えている方に知っておいてほしいところです。

私の勤務先では、介護職、相談員、看護師、医師や連携医療機関などが、それぞれの役割を担いながら対応しています。

しかし、これはすべての特養に共通する仕組みではありません。

施設によっては、看護師が最初の電話を受け、ご家族や医師への連絡・調整まで幅広く担当しているところもあります。

そのため、求人票に「オンコールあり」と書かれているだけでは、実際の働き方や負担までは分かりません。

大切なのは、オンコールの有無だけではなく、

「夜間に何かあったとき、誰が何を担当する仕組みになっているのか」

を知ることだと思います。


私は入職してすぐオンコールを担当したわけではありません

「特養に転職したら、すぐオンコールを任されるの?」

これも不安になるところだと思います。

私の勤務先では、入職してすぐにオンコールを担当することはありませんでした。

まずは入所者さん全体の状態を把握する。

施設の連絡や記録の仕組みを理解する。

日常の看護業務を一通りできるようになる。

必要な物品がどこにあるのかを覚える。

看取りを行っている施設なので、必要なケアについても経験しておく。

そうして、ある程度一人で業務を行えるようになってからオンコールを担当しました。

私の場合は、担当するまで半年ほどありました。

もちろん、オンコールを始める時期や教育体制は施設によって異なります。

だから転職前には、

「オンコールがありますか?」

だけではなく、

「入職してどのくらいで担当しますか?」
「独り立ちするまで、どのように教えてもらえますか?」

まで確認しておくと、実際に働き始めた後をイメージしやすくなります。


オンコールは「一人で全部判断する仕事」とは限らない

特養のオンコールでは、入所者さんの状態を確認し、必要な対応につなげるという看護師としての役割があります。

ですから、まったく判断が必要ない仕事ではありません。

でも、少なくとも私の勤務先では、看護師一人だけで夜間の健康管理をしているわけではありません。

状態を確認する介護職。

連絡やご家族との調整を行う相談員。

相談できる医師や連携医療機関。

日中から共有されている情報。

あらかじめ確認されている治療や看取りの方針。

そうしたものをつなぎながら対応しています。

観察する
→ 情報を集める
→ 必要なところへ相談する
→ 対応につなげる

この流れは、病院などで経験してきた看護と大きくかけ離れたものではないと思っています。


まとめ|「オンコールあり」だけで特養を候補から外さなくてもいい

オンコールには負担があります。

当番中は連絡に備える必要がありますし、必要であれば施設へ向かいます。

私の場合は飲酒をせず、遠出も控えています。夜間に対応しても、翌日が通常勤務ということもあります。

ですから、「オンコールは楽ですよ」とは言えません。

一方で、

「夜中に一人ですべてを判断しなければならない」

とも限りません。

私の勤務先では、介護職、相談員、看護師、医師や連携医療機関などが、それぞれの役割を担いながら、24時間続く入所者さんの生活と健康を支えています。

そして、その仕組みは施設によって違います。

だからこそ、特養への転職を考えるときは、

「オンコールがあるから無理」と決めるのではなく、「この施設では、オンコールをどんな仕組みで支えているんだろう?」と確認してみる。

そのうえで、自分に合う働き方かどうかを考えても遅くないと思います。

特養看護師の仕事内容や1日の流れについては、こちらの記事でも紹介しています。

関連記事:特養看護師の仕事内容とは?病院との違いや働き方を現役看護師がわかりやすく解説

関連記事:特養看護師の1日|仕事内容とスケジュールを現役看護師が紹介

オンコールのある特養へ転職するときに、具体的に何を確認すればよいのかについては、別の記事で詳しく紹介します。


※本記事は筆者自身の勤務経験をもとに、特養看護師のオンコール対応の一例を紹介したものです。施設によって人員配置、オンコール体制、職種間の役割分担、医療提供体制、教育体制等は異なります。個別の医療行為や受診の要否については、医師の指示や所属施設の手順等に沿った対応が必要です。

コメント