特養で看取りに関わっていると、
「家族に連絡するには、まだ早いかな」
と迷うことがあります。
状態は少しずつ変わってきている。
でも、今すぐどうこうという感じでもない。
家族に連絡して、結果的に何もなかったら申し訳ない気もします。
それでも私は、少し早いかなと思うくらいで動くことがあります。
理由は単純です。
あとから時間は戻せないからです。
※この記事では、個人が特定されないよう、時期や状況の一部を変更・再構成しています。
あとから「あそこがターニングポイントだった」と思う
最近、看取りが続いた時期がありました。
ある方では、家族がゆっくり過ごせるよう、部屋の準備を少し早めに整えておきました。
その夜、状態が大きく変わりました。
また別の方では、退院後まもなく体調の変化が続き、
「今後どのように過ごすか、受診や入院も含めて、早めに家族と相談した方がいい」
と周囲に伝えていました。
その方も、その日状態が大きく変わりました。
でも、そのとき私は
「今日がその日だ」
と分かっていたわけではありません。
あとから振り返って、
「ああ、あそこがターニングポイントだったんだな」
と思っただけです。
その場で分かれば、ちょっとカッコいいんですけどね(笑)。
ベテランの勘?そんなにカッコよくありません(笑)
こういうことが続くと、
「これって勘なのかな?」
と思うことがあります。
でも、私はスーパーナースではありません(笑)。
実際には、
「なんか気になるから確認しとこう」
「今日やっといた方がよさそう」
「念のため受診しとこうか」
くらいです。
そして私は、外してもいいと思っています。
何もなければ、
「大丈夫でしたね」
で終わればいい。
毎回当てる必要はありません。
介護士さんの何気ない一言を拾っているだけ
そもそも、私一人が何かを見抜いているわけでもありません。
特養では、介護士さんたちが日常の中で入所者さんをよく見ています。
ただ、介護士さん自身も毎回、
「これは大事な変化です」
と思って話しているわけではありません。
「今日はあまり食べてないですよ」
「さっき、ちょっとむせてました」
「今日は寝てる時間が長いですね」
そんな何気ない一言です。
私はそれを聞いて、
「ちょっと見てこよう」
と確認する。
それだけです。
でも、そういう小さな変化が重なってくると、
「家族にも少し伝えておいた方がいいかな」
「今後のことを確認しておいた方がいいかな」
と思うことがあります。
特養の看取りって、ある瞬間に突然始まるというより、日常の小さな変化が少しずつ積み重なっていくことも多いと感じています。
家族にも、少しずつ状態を伝える
家族への連絡も、いきなり
「最期が近いです」
と伝えるわけではありません。
「最近、食事量が少なくなっています」
「飲み込むことが難しくなってきています」
「眠っている時間が増えてきました」
そんなふうに、その時々の変化を少しずつお伝えします。
状況によっては、
「近いうちに面会に来られるご予定はありますか?」
「一度お会いになった方がいいかもしれません」
と、それとなく面会をおすすめすることもあります。
家族も、急に
「今すぐ来てください」
と言われたら驚きます。
こちらも、最初の連絡は少し勇気がいります。
それでも、少しずつ状態を共有しておけば、家族も心の準備をしやすくなります。
最初の大きな連絡が「呼吸が止まりました」になるのは避けたい
私ができれば避けたいのは、
家族への最初の大きな連絡が、
「呼吸が止まりました」
になってしまうことです。
もちろん、急変してどうしても間に合わないことはあります。
どれだけ早めに動いても、すべて思い通りにはなりません。
それでも、
「もっと早く教えてほしかった」
と家族が感じる可能性があるなら、私は少し早めに連絡したいと思っています。
直接そう言われるとは限りません。
でも心の中に、
「もう少し早く会えたらよかった」
というモヤモヤが残ることもあるかもしれません。
その時間は、あとから取り戻せません。
「まだ早かったですね」で済むなら、それでいい
家族に連絡して、
結局その日は何もなかった。
翌日も大きく変わらなかった。
そんなこともあります。
最初の一回くらいなら、
「ちょっと早かったですね」
で許してもらえるかな、と思っています。
たぶん(笑)。
でも、
「まだ早いと思って連絡しなかった」
そのあと急に状態が変わって、家族が間に合わなかった。
その方が、私は後悔します。
看取りに正解の時間表があるわけではありません。
だから迷います。
迷うけど、
外してもいいから、できることは少し早めに。
私はそんなふうに考えています。
看取りで大事なのは、当てることではないと思う
あとから振り返ると、
「あそこがターニングポイントだったんだな」
と思うことがあります。
でも、その瞬間には分からない。
それでいいのかもしれません。
看取りで大事なのは、
「私は分かっていました」
と当てることではなくて、気になった変化をそのままにせず、確認して、相談して、必要なら家族に伝えること。面会をすすめたり、できる準備を少し先にしておくこと。
そういう小さな動きなのだと思います。
特養では、介護士さんの何気ない一言から始まることもあります。
私はそれを拾って確認しているだけです。
それでも、
あとになって「あの時やっておけばよかった」と思うことを、少しでも減らしたい。
だから私は今日も、
「まだ早いかな」
と少し迷いながら、ちょっとだけ早めに動いています。


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