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50代になると、「定年」という言葉が少しずつ現実的になってきます。
「ここまで長く働いたんだから、このまま定年までいようかな」
そう考える看護師さんもいるのではないでしょうか。
もちろん、それも一つの選択だと思います。
退職金が大きく増えるなら、定年まで勤めるメリットがあります。
今の職場が働きやすく、定年後の再雇用の条件にも納得できるなら、無理に転職する必要もありません。
ただ、私は長く看護師として働き、定年を迎えた先輩たちの「その後」も見てきました。
そして、自分自身も50代になった今、少し考えることがあります。
「定年まで働く」だけをゴールにして大丈夫なのかな?
大切なのは、定年の日より、その先なのかもしれません。
同じ法人でも、定年後は同じではなかった
私は以前、民間病院を中心とする法人で長く働いていました。
そこでは、定年後も再雇用などで働き続ける看護職を何人も見てきました。
でも、みんな同じ働き方ではありませんでした。
雇用形態が変わった人。
それまでとは違う仕事を担当するようになった人。
仕事内容はあまり変わらなくても、給与や賞与などの条件が変わった人。
一方で、比較的納得できる条件で働き続けている人もいました。
同じ法人でも、部署や人によって結構違ったのです。
なぜ違ったのか、私には分かりません。
職場の人員事情、その人が担っていた仕事、本人の希望など、いろいろなことが関係していたのかもしれません。
当時の私は、
「定年後って、そんなものなのかな」
くらいに思っていました。
でも今、自分が50代になってみると、
「私の場合はどうなるんだろう?」
と考えるようになりました。
※ここで紹介しているのは、私がこれまでの勤務先で見聞きした個別の経験です。定年制度や退職金、再雇用の条件は勤務先によって異なります。
実際、再雇用で給与が変わる職場はある
これは、私が見てきた職場だけの話でもありません。
日本看護協会の「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査」では、定年後に再雇用された看護職の賃金についても調査されています。
病院で、非管理職の看護職を常勤・フルタイムとして再雇用する場合、基本給を「定年時の賃金の一定割合」とする病院は32.7%でした。
その方式を採用している病院では、定年時からの平均減額率は27.1%でした。
一方、「定年前後で変更なし」は10.7%でした。
出典:日本看護協会「2024年度 看護職員の賃金に関する実態調査」
全国調査なので、もちろん自分の勤務先が同じ条件になるという意味ではありません。
むしろ職場によって違うからこそ、
「私の場合はどうなるの?」
を、定年前に確認しておいた方がいいと思います。
退職金が多いなら、定年まで残るのも一つ
私は、50代になったら転職した方がいいと言いたいわけではありません。
退職金が大きい職場で長く働いているなら、定年まで残るメリットもあります。
まず確認したいのは、
今辞めた場合、退職金はいくらなのか。
そして、
定年まで勤めた場合、いくらになるのか。
その差が大きければ、定年まで残るという選択には十分な理由があります。
反対に、思っていたほど差がないのであれば、
「夜勤をあと何年続ける?」
「この働き方を60歳まで続けたい?」
と考えてみてもいいかもしれません。
私は長く勤めた職場を50代で退職しました。
私の場合、以前の職場はもともと退職金がそれほど高い職場ではありませんでした。
そのため、
「ここまで勤めたのだから、定年までいないともったいない」
という気持ちは、それほど強くありませんでした。
現在は特養で、常勤看護師として働いています。
私には今の働き方が合っています。
でも、これはあくまで私の場合です。
退職金も給与も体力も家族の状況も違います。
同じ50代でも、選ぶ道は違って当然だと思います。
定年後に、別の職場で働く人もいる
現在の職場には、以前の勤務先を定年まで勤めたあと、別の施設で嘱託職員としてフルタイムで働いている看護師もいます。
私はこの働き方を見て、
「定年まで今の職場にいること」と「その職場でずっと働き続けること」は別なんだ
と改めて思いました。
定年までは今の職場で働く。
その後、自分に合った別の職場を探す。
そんな道もあります。
50代で転職する人もいる。
再雇用でそのまま働く人もいる。
定年後に別の職場へ移る人もいる。
勤務日数を減らす人もいる。
だったら、
「定年まであと何年?」ではなく、「定年のあと、私はどう働きたい?」
まで考えてみてもいいのかもしれません。
自分の希望は、決まる前に伝えてみる
以前の職場には、定年後の働き方について、自分の希望をはっきり伝えていた人もいました。
その人は、比較的納得できる条件で働き続けていました。
もちろん、希望を伝えたことがその条件につながったのかは分かりません。
職場側の事情もあったでしょうし、その人の経験や、その部署の人員状況なども関係していたのかもしれません。
それでも、
自分の希望は、条件が決まる前に伝えてみてもいい。
とは思います。
「この条件なら続けたい」
「夜勤は難しい」
「こういう働き方を希望している」
希望を伝えたからといって、全部通るとは限りません。
でも、何も言わなければ相手には分かりません。
希望を伝える。
相手の条件を聞く。
折り合うところを探す。
そして、その条件で働くかどうかは自分で決める。
それでいいのではないでしょうか。
今の職場しか知らなかったら?
そして、もう一つ考えたことがあります。
私は以前の法人で長く働いたあと、50代になって外へ出ました。
そこで、
「こんな働き方もあるんだ」
と知ったことがいくつもありました。
一つの職場に長くいると、その職場の給与や休日、夜勤、定年後の働き方が、自分にとっての「普通」になっていきます。
そこで、ふと思ったんです。
以前の職場で定年を迎えた人たちも、ほかの働き方を知っていたら、何か違ったのかな、と。
もちろん、答えは分かりません。
ほかの選択肢を知っていても、同じ職場を選んだかもしれません。
でも、
知らないまま残ることと、ほかの選択肢を知ったうえで残ることは違う。
私はそう思います。
転職しなくても、外の世界を見てみる
だから50代になったら、転職する予定がなくても、一度くらい外の求人を見てみてもいいと思っています。
ハローワークを見る。
看護師向けの転職サイトを見る。
病院や施設の公式採用ページを見る。
知り合いの看護師から話を聞く。
一つだけではなく、いくつか比べてみる。
すると、
「今の職場、思っていたより条件がいいじゃない」
となるかもしれません。
それなら、残るという判断にも納得できます。
反対に、
「夜勤をしなくても、こんな働き方があるんだ」
「病院以外にも常勤で働ける場所があるんだ」
と気づくこともあるかもしれません。
ただ、求人情報だけで職場のすべてが分かるわけではありません。
ハローワークにもさまざまな条件の求人がありますし、転職サイトですべての求人を確認できるわけでもありません。
だから、一つの情報だけで決めず、比較する。
求人を見ることと、転職することは別です。
転職するためではなく、
自分の現在地を知るために、外を見る。
50代では、そんな使い方もあると思います。

50代のうちに「定年の翌日」を考えてみる
50代の看護師には、それぞれ事情があります。
退職金。
現在の給与。
家族。
体力。
夜勤。
役職。
そして、何歳まで働きたいのか。
だから私は、
「50代なら転職した方がいい」
とも、
「ここまで勤めたなら定年まで残った方がいい」
とも思いません。
ただ、一度は確認しておいてもいいと思います。
今辞めたら、退職金はいくら?
定年後の給与や雇用形態は?
仕事内容は変わる?
夜勤は続ける?
外にはどんな働き方がある?
そして一番大切なのは、
私は60代を、どう働きたい?
ということかもしれません。
今の職場に残る。
50代のうちに動く。
定年までは今の職場で、その後に別の場所へ行く。
どれでもいいと思います。
大切なのは、周りがそうしているからではなく、自分で情報を知ったうえで選ぶこと。
50代は、まだ働き方を選べる時期でもあります。
今の職場に残るのも、外に出るのも、定年後に働き方を変えるのも一つの選択です。
「定年までどう働くか」だけではなく、「その先をどう暮らしたいか」。
そんなことを、少し早めに考えておいてもいいのかもしれません。


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